ほのめかしの話2

前回は、ほぼ「殺す」としか言っていないほのめかしについて書きましたが、今回はもうすこし複雑なほのめかしを用意しました。

「中学生が数学のコンクールで賞を獲ったというんですが、その研究内容というのが面白くて、太陽が沈むときに東京スカイツリーのエレベーターで展望台に昇れば一度沈んだ太陽が再び昇って見えるというものだそうです。」

「天才バカボンの主題歌の『西から昇ったおひさま』が頭に浮かんだっていうんですよ。最近の中学生でもそんな古い歌を知っているんですね。まあ、YouTubeででも見たんでしょうか。」

「気になるのは、実際に昇ったところが書いていないことですね。さすがに記事を書いた記者はやってみたんでしょうけれど、中学生自身は数学的に証明しただけだから、そこは書いていないのかも知れません。」

以下は、前提となる記事のURLです。
https://www.asahi.com/articles/ASM1J2JHFM1JUBNB001.html

以上をほのめかし(暗喩)として読んだときにさまざまな情報が含まれていますが、読み取った情報を解釈したものを配布したときの責任は解釈したひとであって、これを書いた私ではありません。

記事中では西から太陽が昇るという言葉を多用していますが、私は最初に「一度沈んだ太陽が再び昇って見える」と書いています。この「太陽」を、朝日新聞社についての暗喩と読み取ることができるかも知れません。

西から太陽が昇るということについては、単に常識はずれのことをして朝日新聞を盛り上げろという意味に解釈することもできるし「西」に資本主義陣営の西側諸国の意味を持たせれば、社論の転換という意味になるかも知れません。

スカイツリーの展望台に昇るというのには「電波を飛ばせ(=気が狂ったことをしろ)」という意味になるかも知れません。

他にもいろいろな解釈ができるのでしょうけれど、私は数学のコンクールで賞を獲った中学生の話しかしていません。

記事には賞を獲った中学生の実名まで書いてありますが、実は誰々のことを指しているとまで言ったら、この賞を獲った中学生が目を丸くして気絶するかも知れません。

ほのめかしの話

ここ数日ぐらい「ほのめかし」について考えています。

「ほのめかし」というと、暴力団のかたが「暗い夜道には気をつけろよ」と言ったりすることを思い浮かべます。ここまで露骨だと、状況によっては脅迫罪が成立するかも知れません。

しかし「夜道に気をつけろ」というのは「この平和な日本でなぜ夜道に気をつける必要があるのか」というような問いを発することで馬脚をあらわすかも知れません。脅迫でなかったとしても、少なくとも何かの警告ではあるわけで、なぜそう言ったのかを問いただすことはできるでしょう。

しかし、ことはそう単純ではないと思います。なかには「ただの雑談」と言い張れるような形の「ほのめかし」も存在すると思います。

まず、以下の文言をお読みください。

「遺跡にある金塊のありかを問われてイスラム教過激派に公開処刑された学者の記事を読んだよ。息子の言葉が胸に刺さった。ISってのは酷いなあ。」

念のため、前提となる新聞記事のURLも貼ります。

https://www.asahi.com/articles/ASM17569WM17UHBI00N.html


記事本文を読んだ感想として別におかしなところはないと思います。しかし、イスラム教過激派ISが残酷だと言っているにもかかわらず「俺らはイスラム教過激派のように危険だ」「お前は金目当てか」「学者みたいに能書きを垂れていると殺すぞ」「息子にまで害が及ぶぞ」という意味に受け取ったら気が狂っているとしか思えません。

イスラム教過激派についての議論はさまざまできましょうが、脅迫の意図があったかどうかはそれこそ状況次第としか言えません。

もっとも、どんなに自然な雑談であっても、この文言を吐いただけで「殺す」と言われたと思う人は出るでしょう。

しかし、こうした高度な「ほのめかし」に対して法的な規制を加えようとすれば、権力によるやりたい放題を認めることになるでしょう。

我が国の軍事政権

我が国で「軍事政権」というと、征夷大将軍をトップとする幕府がまず頭に浮かびます。

江戸幕府による政治が善政であったかどうかを軽々しく論ずることはしませんが、一般論として、民主政であるかいなかは、その政策の良し悪しとは関係がないと思います。

国家百年の大計という言葉がありますが、維新の元勲や帝国大学を出た官僚出身の政治家たちには数百年持ちこたえられる国家を設計することはできなかったのでしょう。

なぜ「文民統制(シビリアン・コントロール)」が大切なのかというと、暴力装置を無視した政治などありえないからです。

すなわち、民主的に軍や警察を動かしていない国は民主主義国家ではないということです。

それは単に「軍」や「警察」という名のつく組織の話だけではないことも指摘しておきます。国民が民主的なプロセスを経て銃などの武器を持つことを規制し、軍や警察が管理している。そしてそれが実効性を持っていることも大切です。


【参考】
「軍事政権だって、いいじゃない」という学生たち
https://globe.asahi.com/article/11530020
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