ここ数日ぐらい「ほのめかし」について考えています。

「ほのめかし」というと、暴力団のかたが「暗い夜道には気をつけろよ」と言ったりすることを思い浮かべます。ここまで露骨だと、状況によっては脅迫罪が成立するかも知れません。

しかし「夜道に気をつけろ」というのは「この平和な日本でなぜ夜道に気をつける必要があるのか」というような問いを発することで馬脚をあらわすかも知れません。脅迫でなかったとしても、少なくとも何かの警告ではあるわけで、なぜそう言ったのかを問いただすことはできるでしょう。

しかし、ことはそう単純ではないと思います。なかには「ただの雑談」と言い張れるような形の「ほのめかし」も存在すると思います。

まず、以下の文言をお読みください。

「遺跡にある金塊のありかを問われてイスラム教過激派に公開処刑された学者の記事を読んだよ。息子の言葉が胸に刺さった。ISってのは酷いなあ。」

念のため、前提となる新聞記事のURLも貼ります。

https://www.asahi.com/articles/ASM17569WM17UHBI00N.html


記事本文を読んだ感想として別におかしなところはないと思います。しかし、イスラム教過激派ISが残酷だと言っているにもかかわらず「俺らはイスラム教過激派のように危険だ」「お前は金目当てか」「学者みたいに能書きを垂れていると殺すぞ」「息子にまで害が及ぶぞ」という意味に受け取ったら気が狂っているとしか思えません。

イスラム教過激派についての議論はさまざまできましょうが、脅迫の意図があったかどうかはそれこそ状況次第としか言えません。

もっとも、どんなに自然な雑談であっても、この文言を吐いただけで「殺す」と言われたと思う人は出るでしょう。

しかし、こうした高度な「ほのめかし」に対して法的な規制を加えようとすれば、権力によるやりたい放題を認めることになるでしょう。